香りで感じるイタリアン・サマー:ジャック・キャヴァリエとBVLGARIの「Chill & Sole」

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BVLGARIの最新作「Chill & Sole」は、地中海の豊かな雰囲気とイタリアの夏の爽やかさを一瓶に封じ込めた香水です。このフレグランスは、2021年に発表された「ALLEGRA」コレクションを一段と進化させたもので、太陽の光、砂浜、そして海の香りを思わせる要素を取り入れ、心地よい感覚へと誘います。マスター調香師ジャック・キャヴァリエは、この新しい香水の創造過程を通じて、自らのビジョンを具現化しました。 香りの構成には、地中海を連想させる明るさを持つネロリ、フレッシュなオレンジブロッサムアコード、そしてプチグレインが組み合わされています。これに、シトラスの軽やかさが加わり、レモンの香りが全体を引き締めています。BVLGARIの香りのDNAに深く根ざしたホワイトアンバーとムスクのアコードが最終的に香りを完成させ、身に着ける人それぞれにセンセーショナルな経験を与えます。 ジャック・キャヴァリエは、「ALLEGRA」コレクションに関連する喜びや自然とのつながりといったコンセプトを中心に、この香水を開発しました。彼によれば、「Chill & Sole」は、イタリアのライフスタイルの価値観を体現しつつ、シンプルでありながら洗練された一面も備えているとのことです。その香りは、イタリアの「ドルチェ・ヴィータ」のような洗練とシンプルさからインスパイアを受け、キャヴァリエはその感覚を長らく心に刻んでいます。 また、「Chill & Sole」はそのパッケージデザインも特筆すべき要素です。アクアマリンとピンクのトルマリンカボションは、BVLGARIのハイジュエリーに見られるデザインを彷彿とさせます。ボトルにはローマの古代神殿や邸宅の柱を模した装飾が施され、まるで視覚からも香りを伝える仕掛けがあります。ブルーは水のように瑞々しく、ピンクはマンダリンやオレンジの花の精油を使ったフルーティーさが表現されています。 ジャック・キャヴァリエは、自身の初期の調香体験についても言及しています。彼が最初に香水を「創造」したのは14歳の時で、母親に披露した際には喜びの言葉を貰ったものの、父親にはまだ未熟だと指摘されたと振り返ります。この体験を通じて、香水製作の奥深さと自らの成長必要性を理解したと言います。 現代の香りのシグネチャーについて、キャヴァリエはそのパワーや強さにあるのではなく、軽やかさがあっても良いと述べています。重要なのは、サインシェアとその魅力のバランスです。香りが人々の記憶に残るために必要な魔法の公式は存在しませんが、創作後に初めてそのサインシェアを理解できると言います。 「Chill & Sole」は、ジャック・キャヴァリエの卓越した調香技術と豊かな経験を活かした、夏の思い出を彩る香りです。それは、嗅覚を通じてイタリアの夏を体験させてくれます。