AIが選んだ香水が私にもたらしたもの

香りとは非常に個人的なものである。好きな香水を選ぶとき、普通は他人に任せることは決してない。それでも、私はある日、自分の香りを選ぶ任務を機械にゆだねることにした。この体験を通じて、AI技術が香水の個性化に与える影響について考察する。香りとテクノロジーの融合、それは未来都市のような響きを持ちつつも、実は既に私たちの目の前にある技術なのだ。 私が訪れたのは、オックスフォードストリートに位置するThe Fragrance Shopの旗艦店。そこでは、パーソナライズされた香水を調合することができる全く新しい体験が待っていた。これはEveryHumanと呼ばれる世界初のAI対応の香水作成プラットフォームによるもので、来店者は自分の履歴、好み、性格、スタイルに基づいて香りをカスタマイズする機会を得ることができる。 体験は、QRコードをスキャンするところから始まる。続いて、22の詳細な質問が用意されたアンケートに答えていく。その質問の内容は、成長した場所からお気に入りの活動、服装のスタイル、あなたを最も表す色、社交性や内向性の度合い、他人との関係性など、あなたという人物を深く掘り下げるものとなっている。また、スライディングスケールで香りの甘さ、フローラル、フルーティ、ウッディ、シトラス、レザーなどの要素を選ぶことができる。 私が最初に手にした香りは意外なもので、それは答えた内容に反してアンバーやウードが強いものだった。この香りは、私の追い求めるクラシックでヴィンテージな香水のイメージに挑むものだったが、ノートの内訳を確認すると、やや男性的な香りが混在しているように感じた。次に調合された香りは、シンプルな5つのノートのみで構成された、毎日使いにぴったりの香りだった。 AIシステムの最大の魅力は、カスタマイズ性の高さだ。与えられた3つの香りのうちの一つを選び、さらに微調整を施すことで、理想の香りに近づけることができる。私は3番目の香りにバニラとピーチを加え、ウッディな部分を控えめにして、よりフェミニンでソフトな香りを目指した。 オリジナリティとインタラクションの中でリアルタイムに自分の香水が作られていく体験は新鮮で、非常にパーソナルなものであった。香りは時間とともに私の中でさらに深い意味を持ち、一つ一つが気分や日常に寄り添う存在となった。 このAIによる香水体験の価格は、45ポンドで3つのカスタムブレンドされた5mlの香りを受け取る形式だ。さらに微調整を行うことも可能で、その場合は追加で12ポンドが必要となる。オンラインでの体験はまだ提供されていないが、全国展開が計画されているという。