香りのすゝめ:体を洗う選択肢を考える - ソープからボディウォッシュへ

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香りという観点から身体を洗う選択を論じるのは、五感をテーマにした「香りのすゝめ」にとって意義深いものです。特に、Luxが展開する新たなボディウォッシュの広告が石鹸に対する不満を示し、香りの持続性という点でボディウォッシュの優位性を訴求する内容となっている点に注目します。 Luxという名前を聞くと、多くの人にとって馴染み深いのは石鹸でしょう。しかし、2024年5月1日にUnileverのブランドであるLuxが100周年を迎え、新たなステップを踏み出すことを決意しました。ボリウッドの女優スハーナ・カーンを広告に起用し、彼女は石鹸との「別れ」を宣言、そして香りが長持ちするという理由からボディウォッシュの利用を始めると語っています。 インドの入浴市場において、HUL、ITC、Reckitt Benckiser、Godrej、そしてPatanjaliなどがしのぎを削っています。Statistaによれば、2024年にインドのシャワーおよびバス市場は37億6000万ドルの収益を生み出すと予想され、その市場は2024年から2028年にかけて年平均成長率5.28%を見込んでいます。 一方、IMARC Groupのリサーチによると、インドのバスソープ市場の規模は2022年に28億8500万ドルに達し、2028年には41億3900万ドルまで成長する見通しです。このように、石鹸の市場自体は依然として拡大しているのにもかかわらず、Luxがなぜ自身の伝統的な石鹸を犠牲にしてまでボディウォッシュに注力しているのか、多くの業界関係者が疑問を抱いています。 Bright Angles Consultingのマネージングパートナー、ニシャ・サンパスは、2004年から2008年にかけてLuxボディウォッシュが導入された当時、石鹸ユーザーをボディウォッシュにアップグレードさせることを目指していたと振り返ります。このターゲットは若く、生活水準の高い消費者層でした。彼らは価格差もあり、より高品質な製品を求めている層です。 今日の市場においても、Luxボディウォッシュやそのカテゴリーで大きな変化はありませんが、ブランドが成功するためには消費者価値の向上が必要だとサンパス氏は言及します。液体製品は香りや保湿といったスキンケアの利点を提供できるため、消費者にとっては優れた選択肢となります。 コマーシャルクリエイティブディレクターであるナンディタ・チャーラムも、現代の世界が衛生と先進性の観点からボディウォッシュへとシフトしていると感じています。彼女が以前勤務していた期間において、Luxはインドで二番目に売れている石鹸ブランドでしたが、その変化を踏まえてボディウォッシュへと焦点を移す必要性を感じたとしています。 Mintelの2023年のリサーチでは、インドの消費者の90%が日常的に石鹸を使用している一方で、ボディウォッシュ、シャワージェル、シャワークリームを主要な洗体製品として使用する人はわずか9%であることが示されています。しかし、この市場における変化は徐々に進行しており、石鹸からボディウォッシュへの移行は、このカテゴリーを牽引するセレブリティやソーシャルメディアのインフルエンサーによるキャンペーンによって加速すると専門家は考えています。 Manish Bhatt氏は、ボディウォッシュが石鹸に取って代わるにはまだ時間がかかるとしながらも、両者が共存し続ける可能性を指摘します。特に石鹸は依然として大衆に人気があり、プレミアムな商品としてその魅力を持ち続けると言います。結局のところ、消費者が石鹸からボディウォッシュに移行するときに、どのブランドを選ぶかは、ブランドの信頼性やそのカテゴリーでの適性によるものであり、既存の石鹸ブランドであるかどうかは必ずしも重要ではないと指摘しています。 このように、石鹸からボディウォッシュへの移行には香りという重要な要素が影響します。石鹸の香りが一過性であるのに対し、ボディウォッシュは香りを長持ちさせることができ、これが消費者の心をつかむ重要なポイントとなっているのです。この「香り」という要素が、ただの日常的な体洗いを特別なひとときに変える力を持つことを考えれば、これは香りを大切にする私たちのメディアが最も注目すべき部分であることが理解できるでしょう。